厚生年金と国民年金の違いとは?加入対象・保険料・受給額を徹底比較

「厚生年金」と「国民年金」、老後の生活を支える公的年金の二本柱ですが、加入対象・保険料の計算方法・受給額が大きく異なります。自分がどちらに入っているのか、どれだけもらえるのかを正確に理解しましょう。




まず結論:厚生年金と国民年金の違いはここ

  • 日本の公的年金は「2階建て構造」:国民年金(1階部分)は全員が加入する基礎年金、厚生年金(2階部分)は会社員・公務員が上乗せで加入する
  • 加入対象が違う:国民年金は20歳以上60歳未満の全員が加入義務、厚生年金は会社員・公務員・一定の条件を満たすパート等が加入
  • 保険料の計算方法が違う:国民年金は定額(2024年度:月額16,980円)、厚生年金は標準報酬月額の18.3%(本人負担9.15%、事業主が折半)
  • 受給額が違う:国民年金(老齢基礎年金)の満額は年間約816,000円(2024年度)、厚生年金は加入期間・収入に応じて上乗せされる

一言でいえば、国民年金は「全員が入る基礎年金(1階)」、厚生年金は「会社員・公務員が追加で入る年金(2階)」。厚生年金加入者は両方の年金を受け取れるです。

比較表:厚生年金と国民年金の違い一覧

比較項目 国民年金(老齢基礎年金) 厚生年金(老齢厚生年金)
加入対象 20歳以上60歳未満の全員(第1〜3号被保険者) 会社員・公務員・一定条件のパート等
保険料(2024年度) 月額16,980円(定額) 標準報酬月額×18.3%(労使折半、本人9.15%)
受給開始年齢 原則65歳(繰上げ・繰下げ可能) 原則65歳(繰上げ・繰下げ可能)
満額の年金額(2024年度) 年約816,000円(月額68,000円)※40年加入の場合 報酬・加入期間によって異なる(平均的な会社員で月10〜15万円程度の上乗せ)
受給に必要な加入期間 保険料納付・免除期間合計10年以上 厚生年金の加入期間(長いほど受給額増)
扶養家族への保障 なし 被扶養配偶者は第3号被保険者として国民年金に加入

日本の年金の「2階建て構造」

日本の公的年金制度は「2階建て構造」で理解するとわかりやすいです:

  • 1階部分(国民年金・老齢基礎年金):20歳〜60歳の全員が加入。40年間保険料を払い続けると満額を受け取れる
  • 2階部分(厚生年金・老齢厚生年金):会社員・公務員等が上乗せで加入。在職中の収入と加入期間に応じて上乗せ額が変わる
  • 3階部分(任意):企業年金(確定給付年金・確定拠出年金)・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、任意で上乗せできる制度

つまり厚生年金加入者は「国民年金+厚生年金」の両方を受け取れます。自営業者・専業主婦(夫)などは国民年金のみのため、老後の年金額が会社員より少なくなりやすいです。

被保険者の種類(第1〜3号)

  • 第1号被保険者:自営業者・農業者・学生・無職など(厚生年金非加入)。国民年金保険料を自分で納付
  • 第2号被保険者:会社員・公務員(厚生年金加入者)。厚生年金保険料に国民年金分が含まれる
  • 第3号被保険者:第2号被保険者(会社員・公務員)の扶養配偶者(年収130万円未満)。保険料負担なしで国民年金に加入できる

保険料はいくら払う?

国民年金:2024年度は月額16,980円(定額)。前納(まとめて払い)すると割引あり。収入が少ない場合は「免除制度」を申請できる(免除期間も将来の年金受給額に一部反映)。

厚生年金:標準報酬月額(給与を一定の等級に区分した金額)×18.3%を労使折半。月給30万円の場合、月額54,900円(本人負担27,450円、会社負担27,450円)。高収入の人ほど保険料が高く、将来の受給額も増える仕組み。

いくらもらえる?

老齢基礎年金(国民年金):2024年度満額で年額816,000円(月約68,000円)。40年間(480か月)全額納付した場合の金額で、未納・免除期間があれば比例して減る。

老齢厚生年金:在職期間の平均標準報酬額と加入月数で計算。厚生労働省の公表する「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金(老齢基礎年金含む)の平均受給額は月約14万3,973円(2022年度)。

繰上げ・繰下げ受給とは?

年金は原則65歳から受け取りますが、60〜64歳に繰上げ受給(2022年4月以降適用の新制度では1か月あたり0.4%減額※)、66〜75歳に繰下げ受給(1か月あたり0.7%増額)することができます。※1962年4月1日以前生まれの方には旧制度の月0.5%減が適用。75歳まで繰下げると最大84%の増額になります。長生きするほど繰下げが有利になりますが、健康状態・家計状況に応じて判断が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 転職・退職した場合、年金の手続きはどうする?

A. 会社員から会社員に転職する場合は勤務先が手続きを行います。退職して自営業・無職になる場合は、退職後14日以内に住所地の市区町村窓口で第1号被保険者への種別変更手続きが必要です。

Q. 国民年金を払っていない期間はどうなる?

A. 未納期間は将来の受給額が減ります(未納1か月ごとに満額の1/480が減額)。2年以内であれば後払い(追納)ができます。また所得が少ない場合は「免除申請」が可能で、免除を受けた期間は受給額が一部(免除の種類によって1/2〜全額)反映されます。

Q. 年金は破綻しないのか?

A. 日本の公的年金は「賦課方式」(現役世代の保険料で高齢者の年金を支払う)を基本としており、保険料収入だけでなく国庫負担(税金)が基礎年金の1/2を負担。少子高齢化の進行で給付水準の調整(マクロ経済スライド)が行われますが、制度自体が消滅することはないとされています。

まとめ

  • 国民年金=全員が入る1階の基礎年金。定額保険料・満額で年約816,000円(2024年度)
  • 厚生年金=会社員・公務員が追加で入る2階の年金。収入・在職期間に応じた上乗せ
  • 厚生年金加入者は国民年金+厚生年金の両方を受け取れる
  • 自営業者は国民年金のみのため、iDeCoや小規模企業共済などで補完を検討
  • 繰上げ・繰下げで受給額を調整できる(75歳繰下げで最大84%増)

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